2008年4月 4日 (金)

「SFマガジン」に式貴士の名前が!

「SFマガジン」2008年5月号(3月25日発売)に、光文社文庫『怪奇小説コレクション カンタン刑』の書評が掲載されていたことを、石川誠壱さんから教えていただきました。書評コーナー「SFブックスコープ」の風野春樹さん担当分のところで取り上げられています(122頁)。

7作品をまとめて紹介するスタイルなので、文章自体は短めですが、「SFマガジン」の書評で取り上げられたということが、とても意外で嬉しいことでした。「えげつなさとロマンティズムを兼ね備えた式作品は、ホラーが市民権を得た今こそ先駆者として評価されるべきだろう」と書かれています。

往年の式ファンは、長いあとがき等でご存知だと思いますが、式貴士が現役で書いていた頃、いわゆるSF文壇的なところでは、ほとんど注目されなかったそうです。当時の日本SFではマイノリティだったエロ、グロ、ナンセンスの作風、著者自身が多人数との人付き合いを嫌ったためSF関係者と交流がほとんどなかった、等々、色々理由はあったようですが……。特に、「SFマガジン」とは、生前(そして、おそらくその後も)全く接点がなかったと思います。

ひょっとしたら、今回の書評で初めて、「SFマガジン」に「式貴士」の活字が載ったという可能性も大きいんじゃないでしょうか(『鉄輪の舞』発売時に、書評が掲載されているかもしれませんが)。そう考えると、とても感慨深いものがあります。
※4月6日追記。石川誠壱さんからコメントで指摘いただきましたが、「SFマガジン」で連載された、日下三蔵氏のコラム「日本SF全集 第3期」(2005年10月号)で取り上げられていることをすっかり忘れていました。上のくだりは間違いです。失礼いたしました。

それにしても、文庫で3つも書評が掲載されるとは驚きです。「週刊大衆」「SPA!」「SFマガジン」と雑誌のジャンルがバラバラなのも式貴士らしい気がします。本当に有り難い限りです。今の読書界に、式貴士がある程度受け入れられた証拠ではないかと思っています。

●風野春樹さんのサイト「新・サイコドクターあばれ旅」(下記サイトでの更新は終了)
http://homepage3.nifty.com/kazano/

S-Fマガジン 2008年 05月号 [雑誌] Book S-Fマガジン 2008年 05月号 [雑誌]

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2008年3月14日 (金)

「週刊SPA!」に書評が掲載されています

現在発売中の「週刊SPA!」(3月18日号)に、『怪奇小説コレクション カンタン刑』の書評が掲載されています(レビューコーナーのコラム「南陀楼綾繁の『文庫1冊決め!』」にて。P121ページに掲載)。

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執筆されているのは、フリー編集者・ライターの南陀楼綾繁さんです。タイトルは「平山夢明の先駆者が放つSF=ストレンジ・フィクション」で、「カンタン刑」をめぐる考察や、本書の構成などについて書かれています。南陀楼氏は、中学生の時に「カンタン刑」を読んで吐きそうになった思い出があって、今回の文庫で久しぶりに式作品に触れたそうです。「久しぶりに読み直してみて、アイデアの意外性と文章の上手さに感嘆した」と書かれています。

ミステリ・SFプロパーでない方のレビューで、しかも「週刊SPA!」というメジャー誌への掲載ですから、二重の驚きと嬉しさがあります。ぜひ本屋でチェックしてみてください。

●南陀楼綾繁さんのブログ「ナンダロウアヤシゲな日々」
http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/

カンタン刑   式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)Bookカンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)

著者:式 貴士

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『新世界より』に「カンタン刑」が?

『黒い家』『青い炎』の貴志祐介氏による、3年半ぶりの書き下ろし小説『新世界より』を読みました。上下巻で1000ページを超えるボリュームで、しかも内容は本格SFファンタジー。『クリムゾンの迷宮』等、これまでもSFぽい作品を書いてきた著者ですが、世間的には映像化に恵まれたホラー作家という位置づけだったと思います。前作『硝子のハンマー』で本格ミステリに挑戦した時も意外だなと感じましたが、今度はそれ以上の驚きがありました。楡周平が『青狼記』を発表した時(これも傑作です!)に匹敵するぐらいの衝撃で、ジャンル外の挑戦でいきなり大作をものにしてしまう筆力に脱帽です。

で、ここからが本題なのですが、読んでいて「アレッ」と思った箇所があったので、ちょっと紹介しておきます。

(前略)少し前から、まわりで数種類の虫が美しい声で鳴き出していた。このあたりには、草むらもないのに、何がいるのだろうか。
「この虫は、何なの? 鈴虫とか?」
 わたしは、覚の背嚢に入っている、ニセミノシロモドキに訊ねた。
「ここで鳴いているのは、すべて、ゴキブリの仲間です。馬追蜚■(ウマオイゴキブリ)、邯鄲蜚■(カンタンゴキブリ)、鉦叩蜚■(カネタタキゴキブリ)などで、暗い洞窟の中で雌を求めるために……」

『新世界より(下)』(講談社)421ページ、10行目から16行目まで

※()内は、ルビ
※■は、虫+廉

この作品は巧みに漢字を組み合わせた造語で、独特な世界観を作っています。そこに上記のようにゴキブリが登場するのですが、「カンタンゴキブリ」という表記が妙に気になりました。「カンタン」と「ゴキブリ」ですから、どうしても「カンタン刑」を連想してしまいます。ひょっとしたら、貴志氏のお遊びで入れたんじゃないかと私は思っています。「SFマガジン」のインタビューによると、貴志氏は「ハヤカワSFコンテスト」に応募した過去もあるそうですから、式貴士を知っている可能性も高そうです。

ちなみに、物語のラストでとある登場人物が「カンタン刑」を思わせる刑罰を受ける描写もありましたが、これは偶然の一致でしょうね。

新世界より 上Book新世界より 上

著者:貴志 祐介

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2008年3月 7日 (金)

ネットの感想をご紹介

『怪奇小説コレクション カンタン刑』発売から約1ヶ月経ちました。来週12日に光文社文庫の新刊が出ますので、そろそろ新刊コーナーから姿を消すことになります。仕方ないことですけど、ちょっと寂しい感じです。

今日はネットの感想をご紹介します。初めて式貴士を知った方から、昔ながらの読者まで、色々な感想があって読みふけってしまいました。順不同でリンクをはりますので、ぜひ読んでみてください。

続きを読む "ネットの感想をご紹介"

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2008年2月18日 (月)

今日は式貴士の命日です

今日2月18日は式貴士の命日で、亡くなられてから今年で17年になります。光文社文庫『カンタン刑』が発売されて約10日経ちますが、いいタイミングで本が発行されて良かったです。今日は行けませんでしたが、いつか墓前に本を供えに行こうと考えています。

式貴士のお墓は、静岡県の富士霊園内にある「文学者之墓(ぶんがくしゃのはか)」にあります。文学者之墓は日本文藝家協会が作った合祀墓で、生前に希望した会員はこのお墓に入ることができるそうです。2度足を運んだことがありますが、始めは単なるモニュメント(遺骨などは入っていない)だと思い込んでいました。ネットで調べると、確かに、故人の遺品や分骨のようなかたちで納めるケースが多いようですが、式貴士の場合はここに遺骨が納められていると遺族の方にうかがいました。

横長の墓碑には、著者の名前と亡くなった日、享年、そして代表作が書かれています。式貴士が選んだ代表作は『虹のジプシー』でした。著者の心の遍歴を描いたこの作品は、グロテスクな要素から、センチメンタリズムな要素まで全て含まれていて、自らの代表作として選んだのも頷けます。この作品もいつか復刊できるといいのですが……。

Bungaku_hi

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2008年2月13日 (水)

「週刊大衆」に書評が掲載されています

現在発売中の「週刊大衆」(2月25日号)に書評が掲載されています(新保博久さんに教えていただきました)。執筆されているのは復刊ミステリ・SFの編纂や解説でお馴染みの日下三蔵さんです。未収録短篇や「仕置猫」についても触れられていて、「年季の入ったファンから初めて作者に触れる読者まで満足まちがいなしの1冊だ」と書いていただいています。来週月曜に最新号が出るまで、コンビニや書店に置いてあると思いますので、ぜひチェックしてみてください(148ページに掲載されています)。

Taishul_4

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石川誠壱さんからの感想と、解題の訂正お詫び

私は解題で「式貴士研究家」と勝手に名乗っていますが、この名付け親はミステリ評論家の新保博久さんだったりします。名刺を作る時に、何か肩書きがあった方がいいでしょうとアドバイスしていただきました。縁の人に取材する時、大体まずこの肩書きの話になって最初の話題に困らないという利点があるんですよね。それぐらいの意味あいで研究家と名乗らせてもらっているのですが、実は先輩がいるんです。ライターの石川誠壱さんがその人で、私のサイト「虹星人」より前に「式貴士と私(仮)」というサイトを立ち上げられています。

式貴士と私(仮)
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1814/shikitakashi.html

石川さんは他にも幅広いジャンルで深い研究をされている方で、私としては式貴士研究の先輩であり、心強い仲間だと思っています。その石川さんから、光文社文庫『カンタン刑』の感想をいただきました。「『式貴士・入門篇』としては、ベストなセレクトであると思います」と言っていただけて、ホッとしました。

石川さんのブログで、未収録作品の「メニエール蝉」「塵もつもれば」、劇画作品の「仕置猫」について書かれているのでご紹介します。私の解題では、前者2篇についてほとんど触れていませんでしたので、ディープな式貴士ファンの方にぜひ読んでいただきたいです。

石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」
あと半歩 ※「メニエール蝉」「塵もつもれば」について
http://plaza.rakuten.co.jp/ishikawasei1/diary/200802120000/

あと0.25歩 ※「仕置猫」について
http://plaza.rakuten.co.jp/ishikawasei1/diary/200802120001/

「塵もつもれば」について更に補足すると、モチーフになっている占星術についてはウラヌス星風名義で培った知識が活かされているのと(蘭光生名義のポルノでも、突然占星術の蘊蓄が展開されている作品もあります)、ワープロなどハイテク機器が嫌いだったという式氏が当時としては珍しい、コンピューターでホロスコープを書くことを扱っているのが興味深いです。以前、式氏に関する取材で、CBSソニーの編集者の方が、正にこの短篇で書かれた話を式氏にしたら、とても興味をもっていたと話されてましたので、おそらくこの話をネタに書かれたものだと思われます。

石川さんからは、解題のミスについても指摘いただきました。以下の2点です。
お詫びして訂正させていただきます。

●P383 13行目
矢野徹のルビ「やのとおる」
→正しくは「やのてつ」

●P383 13〜14行目
「SF宝石」第7号。一九八〇年六月
→正しくは「八月」

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2008年2月 7日 (木)

光文社文庫『カンタン刑』本日発売です!

『カンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション』(光文社文庫)、本日発売です。そこそこ大きな書店の文庫新刊コーナーには、置いてあると思います。ぜひ手にとってみてください。

以下は余談です。『カンタン刑』が書店に置いてあるのを確認しがてら、同時発売の光文社文庫の中で、『ライダー定食』(東直己)と『聖殺人者』(新堂冬樹)を手にとってみました。『ライダー定食』は、大森望氏の解説によると、ハードボイルド作家としてデビューする前に書かれた奇妙な味・奇想小説系の短篇集、『聖殺人者』は、『悪の華』の続編にあたる暗黒ハードボイルド小説(解説は日下三蔵氏)。新堂冬樹は、暗黒小説から恋愛小説まで書いてしまう幅広い作風で、大体読んでいますが、好みの作家です。触れ幅の大きさという点でいえば、式貴士に通じるところがちょっとあるかもしれませんね。『聖殺人者』は初刊本で読んでいるので、『ライダー定食』だけ購入しました。

そうそう。新堂冬樹といえば、式貴士好きの方は、『吐きたいほど愛してる。』(新潮文庫)をぜひ読んでみてください。『カンタン刑』のような生理的恐怖を感じさせる短編集で、かなり強烈ですよ。お勧めです。

カンタン刑   式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)Bookカンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)

著者:式 貴士

販売元:光文社
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ライダー定食 (光文社文庫)Bookライダー定食 (光文社文庫)

著者:東 直己

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聖殺人者 (光文社文庫)Book聖殺人者 (光文社文庫)

著者:新堂 冬樹

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吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫 し 58-1)Book吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫 し 58-1)

著者:新堂 冬樹

販売元:新潮社
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2008年2月 1日 (金)

『カンタン刑』amazonで予約開始

光文社文庫『カンタン刑』、amazonで予約ができるようになりました。価格は税込みで660円です。人に配る用に、自分でも3冊注文してみました。

カンタン刑Bookカンタン刑

著者:式 貴士

販売元:光文社
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2008年1月30日 (水)

『カンタン刑』の見本が出来上がりました!

来週木曜発売の『カンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション』(光文社文庫)の見本が出来上がりました。一足先に、カバーをご紹介します。

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巻末エッセイは、作家の平山夢明さんが書かれています。帯文は、そのエッセイからとったものです。前のエントリでは、解説と書いてしまいましたが、巻末エッセイの間違いです。あと、「平山さんが本格的な文庫解説を書くのはおそらく初めて」とも書きましたが、『こんな映画が、 吉野朔実のシネマガイド』(吉野朔実著、河出文庫)の解説を担当されていることに、この前気がつきました。重ねて、失礼しました。平山夢明さんと式貴士の関係については、別の記事で詳しく書くことにします。

ページ数、定価も確定しましたので、収録内容も含めて以下にまとめました。発売の折には、ぜひぜひ手にとっていただけると嬉しいです。

『カンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション』
光文社文庫/2月7日発売/400頁/629円+税
〈目次〉
・カンタン刑
・首吊り三味線
・渇いた子宮
・ヘッド・ワイフ
・おれの人形
・マイ・アドニス
・血の海
・アイス・ベイビー
・メニエール蝉(単行本未収録)
・塵もつもれば(単行本未収録)
・鉄輪の舞
・東城線見聞録
・仕置猫(単行本未収録。作画・上村一夫)
巻末エッセイ「破壊されて嬉しかった日」平山夢明
解題

●【平山夢明 ブログ】ある日記
http://blog.livedoor.jp/hirayama6/

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«上村一夫・作画「仕置猫」について